No.46(イスラーム世界の分裂)  : 

「11世紀からカリフはどうなったか?」

1055年にアッバース朝の都バグダードを占領して、ブワイフ朝を滅ぼしたセルジュ
ーク朝のトゥグリル=ベク(1038年中央アジアに建国)が、1058年にスルタンの称
号をアッバース朝カリフから得た。それによりスルタンは政治の支配、カリフは宗
教上の支配という役割分担ができ、実質上の支配権はカリフには無くなった。   

<評価の観点>
関心・意欲・態度:
カリフを天皇とすれば平氏政権に相当するブワイフ朝や、鎌倉幕府に相当するセル
ジューク朝など、日本史の知識を動員することにより、高い関心を持ちながら理解
に努めている。

思考・判断:
宗教のみならず政治・軍事の面でも、イスラーム世界の中心であったカリフが、11
世紀を境に、宗教的権威としての存在に限定されるようになることについて考察し、
その歴史的意義を的確に判断している。

資料活用の技能・表現:

政教一致の時代を一つの三角形(頂点はカリフ)で、政教分離の時代を二つの三
角形(政治・軍事の三角形の頂点はスルタン、宗教の三角形の頂点はカリフ)で、
図示することができている。

知識・理解:
イラン系イスラーム王朝のブワイフ朝やトルコ系イスラーム王朝のセルジューク朝
の歴史的意義や、両者のアッバース朝との関係について基本的な知識を身につ
けている。